2025年4月13日
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「HCL Unica ユーザー企業による活用事例」では、約8年にわたり、HCL Unicaを活用してマーケティング活動を行ってきている、株式会社ファンケルの通販営業本部 デジタル推進部コミュニケーション企画グループの佐藤康平様にご登壇いただきました。佐藤様は現在、ファンケルの通販部門でCRMやコミュニケーションの分野を担当されています。講演の冒頭では、これまでの活動を振り返りつつ、MAの利用シーンを詳細にご説明くださいました。
佐藤様 「ファンケルの売り上げの半分は化粧品で、残り半分を健康食品などが占めています。販売チャネルは半分が通販であり、直営店や流通、海外が残り半分になります。商品部門が開発した商品を、主力である通販というチャネルでお客様に『どう売るか』もしくは『コミュニケーションをどう作るか』が我々がやっていることになります」
佐藤様によると、ファンケルの同部門が初めてMAを導入したのは2013年頃だったといいます。当時はHCL Unicaではなく、メール自動配信用のSAS製品を採用していました。ただ、次第にレスポンスやデータ容量不足といった課題が浮き彫りになり、性能向上による改善を図るために実施したのが、現在の「HCL Unica Campaign」へのリプレイスだったのです。その後、クラウドからオンプレミスへの移行という大きな決断をいただいたのは、2017年頃。それから約8年、HCL UnicaはLINEとの連携や機能拡充をしながら、基盤として、佐藤様の施策を支えています。
また、佐藤様が語るMA構成のポイントは以下の通りです。
佐藤様 「ここまで作りこめば、何か新しいことを思いついてもほぼ実現できる構成になっていると実感しています。実際の活用方法として機械学習を使った事例を紹介いたします」
佐藤様 「この施策は『定期購入の予約を予測して、解約しないようにアプローチする』ことが目的です。対象の製品である内脂サポートは、腸内環境を改善することで体重を減らすというものなのですが、腸内環境はすぐには変わらないという点がお客様に浸透していません。そのため変化を感じられずに解約してしまう人が多く、新規登録者は多いものの解約率も高いことが課題でした。その打ち手をAIとデータを活用して考えてみました」
受注や定期変更、アクセスログなどの収集データを一度取り込み、複数の施策を実施、継続・解約の結果をLightGBMという機械学習アルゴリズムを用いて効果検証する、というのが大きな流れです。ポイントとして挙げられたのは、「判別分析」のような手法をとっているので、解約理由まで推測できること。佐藤様によると、これまでも予測モデルを使った取り組みをしてきたものの、結局「確率だけ分かっても打ち手につながらない」ことが課題だっだそうです。佐藤様が実践したAIの使い方は、マーケティングにおける大きな気付きになるのではないでしょうか。
佐藤様 「確率に加えて『その理由』がわかると『続けることでこんな効果がある』とか『効果の兆し』といった点をクリエイティブに落とし込めるようになります。実際の運用に役立てることを実感しているので、この点にはかなりこだわっています。また、お客様に解約時に必ずアンケートに回答していただくなど、データの取得もセットで実施しています」
佐藤様の講演では、ほかにも同施策の「こだわり」を数多くご紹介していただきました。例えば、すべての施策において、対象者の5%程度を、あえて何もアプローチしない「コントロール」として設定しているそうです。これによってMA自体の有無による差分などの検証ができ、ROIが出せるようになります。情報交換会では、実際のグラフを提示して説明していただきました。
佐藤様 「この検証では、定期購入を解約したお客様について、再開の可能性の高さ別に、特定のオファーを実施する / 実施しない / 何もアプローチしない、によって再購入に至った割合を比較しています。例えば、再開を迷っている、再開の可能性が高そうな層では、特定のオファーを送った場合、購入率に有意なアップリフトが見られます。ですので、アプローチすると効果がある、クリエイティブがうまく刺さったのではないか、といった推測ができるというわけです」
最後に、佐藤様はマーケティングそのものの取り組み方が近年大きく変化していることに触れ、今後の活動の展望について語りました。
佐藤様 「従来は、施策を積み上げて効果のある施策をたくさん増やすことをメインでやってきました。昨年くらいからはキャンペーンのマネジメントだけではなく、お客様にコミュニケーションが届いているのか、刺さるコンテンツを配信できているのかといった『体験マネジメント』に進化させていくことに、MAを使う人だけではなく、通販部門全員で取り組んでいます」
「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part3へ続く...