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AI活用の準備は万全ですか?データをAI対応にするための5ステップ戦略

2025/5月/27 - 読み終える時間: 7 分

Is Your Data AI-Ready? A 5-Step Strategy to Prepare Your Dataの翻訳版です。


2025年3月12日
Ryan Treichler
HCL Unica プロダクトマネジメント ディレクター

AI(人工知能)はもはやSFのようなの未来的なテクノロジーではありません。 すでに私たちのビジネスに深く根付き、業界構造を変革し、業務プロセスを自動化し、かつてない規模でビジネスモデルそのものを再定義しています。 しかし、その水面下では、依然として以下のような誤解が存在していることをご存知でしょうか?

  • 誤解: 多くのマーケターや企業は、AIを導入すれば即座に価値ある洞察が得られる“即効性のある技術”と捉えがち
  • 現実: AIは単一の技術ではありません。機械学習、生成AI、意思決定AI、深層学習、自然言語処理など、多岐にわたる技術領域で構成されている。これらを適切に機能させるには、構造化された高品質なデータが必要

多くの企業がAIの活用を急いでいますが、正しく活用するためにも「そのデータはAI対応になっているのか?」という根本的な課題に立ち返る必要があります。
ある調査では、企業の約80%が自社データはAI対応済みと認識していますが、実際には52%が導入時にデータの品質や分類に重大な課題を抱えています。
強固なデータ基盤がなければ、どれほど高性能なAIモデルであっても誤った予測やコンプライアンスリスク、業務効率の低下を招くおそれがあります。
AIの認識された準備状況と実際の有効性との間のこの矛盾は、AIの実装を成功させるために解消されなければなりません。
事実、AIはその土台となる「データの質」によって、その真価が決まります。
では、どのようにすれば「AIに最適化されたデータ基盤」を整備できるのでしょうか?ここでは、AI導入に向けて取り組むべき5つのステップをご紹介します。

1. データ品質の確保:信頼できるデータを保有していますか?

AI導入の過程で企業が遭遇する最大の課題の1つが、AIモデルが頻繁に期待通りのパフォーマンスを発揮しない、または不正確な結果を出すことです。
その根本的な原因の多くは「データ品質」にあります。
たとえば、社内データが断片的だったり、一貫性がなく更新されていなかったりすると、AIの予測精度は大きく低下します。
予測精度の低下を避けるという意味で、データ品質ガードレールが重要な役割を果たします。
ちなみに、ガードレールとは「人工知能(AI)、分析、意思決定システムなどの重要なアプリケーションで使用される前に、データが正確で一貫性があり、信頼できることを保証するため」に設計された、事前に定義されたルールと確認ツールです。
これらは、低品質のデータがビジネスのAI主導のプロセスを損なうのを避けるための防御施策と考えてください。

データ品質の主なガードレール

データの正確性(Data Accuracy)

データの正確性とは、データが現実世界の事象や対象をどれだけ正確に表現しているかを指します。
正確性を確保するための実践例として、

  • 定期的な監査: データに誤りや矛盾がないかを定期的に見直し、分析や意思決定に影響を与える前に是正する
  • データクレンジング: タイポや重複、古くなった情報を手動または自動で除去し、AI学習前に情報精度を高め、適切な状態に整える。

データの完全性(Data Completeness)

顧客行動を予測するAIモデルを構築しようとしても、購買履歴や属性情報などの重要なデータが欠落していては、結果に偏りが生じる可能性があります。
マーケティング領域においては、こうした不完全なデータがAIの精度や有効性を大きく損なう要因となります。

完全性を担保するための戦略:

  • データ収集ポリシーの策定: どの情報を、どのように収集・記録すべきかを明確に定義したポリシーを策定し、関係者全体で徹底した共有を行う
  • フィードバックメカニズムの導入: 入力漏れや不完全な情報が検知された際に即座に通知する仕組みを構築し、速やかに是正できる体制を整える。

また、定期的なデータ監査も完全性の維持に必要不可欠である

データの一貫性(Data Consistency)

データの一貫性とは、複数のシステムおよびデータセットにおいて、データが整合性を保ち、統一された形式で存在している状態を指します。
AIシステムは、構造化され標準化されたデータに基づいて傾向を予測します。そのため、部門ごとに異なる形式(例:「USA」と「United States」など)でデータが管理されていると、AIモデルはパターンを正しく認識できず、矛盾した洞察を生み出す可能性があります。
データの一貫性を確保するには、以下のような戦略とベストプラクティスが有効です。

  • フォーマットの標準化: データ形式や命名規則の統一、各業務システム間での同期を徹底し、組織全体で整合性のあるデータ管理を実現
  • CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の活用: 重要な顧客データを一元的に管理する「唯一の信頼できる情報源(Single Source of Truth)」としてカスタマーデータプラットフォームを導入することで、すべてのシステムが共通のマスターデータを参照・更新可能にする

データの検証(Data Validation)

企業は、AIパイプラインにデータを取り込む前に、リアルタイムでのデータ検証を行う必要があります。これは、異常値や重複、矛盾のあるレコードを事前に検知・排除するプロセスです。
自動化されたデータ検証チェック機能を実装することで、AIモデルは高品質で信頼できるデータのみで学習されることが保証されます。
AIによってビジネスインパクトを最大化するためには、組織はAI導入の前後を問わず、すべての段階でこうしたデータ品質のガードレールを継続的に監視・強化していくことが不可欠次に取り上げるのは、AI向けデータ準備におけるもう一つの重要な要素、「データラベリングとセマンティックレイヤリング」です。

2. データラベリングとセマンティックレイヤー

「AIがデータの「意味」を正しく理解できていますか?文脈を持たないAIは、単なる自動化に過ぎません。文脈を持つAIこそが「知性」です。」
AIモデルが膨大な顧客データへアクセスできたとしても、それを「理解」できていなければ、的確なビジネス判断を導くことはできません。
どれほど高性能なAIでも、データに正確なラベルが付与されておらず、構造的にも意味づけが不十分であれば、有用な洞察を生み出すことは困難です。
この課題を解決する鍵が、「データラベリング」と「セマンティックレイヤー」です。両者は連携して、AIにとって意味のある形にデータを分類・構造化・文脈化し、ビジネス活用可能なデータへと導きます。

  • データラベリング:テキスト、画像、動画、数値などのデータにタグ付けや注釈、分類を行うプロセスです。AIモデルが学習する上で必要となる「文脈」を提供。高品質なラベルは、生データに構造を与える役割を果たし、AIがパターンを認識し、情報を分類し、ビジネス活用に適した精度の高い予測を可能とする
  • セマンティックレイヤー(意味論的レイヤー): 単なるラベリングを超えて、エンタープライズデータアーキテクチャの中核を成す要素。複雑なデータストレージシステムとビジネスユーザー間のやり取りを簡素化し、生の入力を統一されたビジネスに適したフォーマットに変換する

セマンティックレイヤーは、部門間で異なる用語や定義を標準化し、AIが異なるデータセットでも一貫した意味で情報を解釈できるようにします。
たとえば、ある金融機関において「Q1」と「Quarter1」という表現が同一の意味を持つよう、AIが混乱なく理解できるようになることで、誤解を防ぎ、意思決定の精度を高めることができます。

効果的なデータラベリングとセマンティックレイヤー構築のためのポイント

  • 明確なラベリングプロセスの確立: 構造化データ(例:「顧客離反 = 高リスク」)に対しては明確なラベルを、非構造化データ(例:テキストの感情のタグ付けや画像内のオブジェクトのラベリング)には正確な注釈を付ける体制を整える
  • AI支援ツールの活用: ラベリング作業を効率化し、人的ミスを減らすために、AIベースの支援ツールを導入して自動化・標準化を図る
  • ドメインの専門家を関与: ラベルや注釈のビジネス的妥当性・現実性を担保するため、専門領域の知識を持つ人員をラベリング工程に関与させる
  • セマンティックレイヤーの設計と導入: 組織全体で共通認識を持てるよう、用語・データ構造を統一するセマンティックレイヤーを構築し、継続的に見直し・更新できる体制を整備
  • セマンティックモデリングの統合: データ管理基盤にセマンティックモデリング機能を組み込むことで、AIが手動介入なしで文脈を理解し、意味のある洞察を導けるようにする
  • 業界特有の文脈理解の訓練: AIモデルが業界固有の用語や関連性を正しく理解できるよう、「意味ベースのメタデータ(セマンティックタグ)」を活用し訓練する。これにより、AIはすべてのデータを一般的なものとして扱うのではなく、業界固有の用語を理解。例えばマーケティングでは「MQL(Marketing Qualified Lead)」というような専門用語を正しく識別・解釈できる状態にする

ただし、いかに高品質で文脈に即したデータを用意しても、それがAIシステムからアクセス可能でなければ意味がありません。
次は、「AIにとってアクセス可能なデータ」を実現するためのベストプラクティスについて掘り下げていきます。

3. データのアクセシビリティ:AIは必要なデータに簡単にアクセスできていますか?

AIの賢さは、「アクセスできるデータの質と量」に比例します。では、そのデータが部門ごとにサイロ化され、断片的に存在していたらどうなるでしょうか?
多くの企業では、いまだに異なるシステムやチャネルに分散したデータソースの統合に課題を抱えており、その結果、AIによる分析に遅延や非効率が生じ、顧客エンゲージメントやマーケティング施策の精度を十分に引き出せていないのが実情です。
AIがリアルタイムの洞察や完全な顧客プロファイリングを実現するには、すべてのデータソースがシームレスに統合されている必要があります。
そこで重要な役割を果たすのが Composable CDP(Customer Data Platform) です。これは、複数チャネルに点在する構造化・非構造化データを統合し、「唯一の信頼できる情報源」として、AI活用に適した完全かつ詳細な顧客プロファイルの構築を可能にします。

Composable CDPを導入することで、企業が得られる主なメリット

データサイロの解消

Composable CDPはモジュール型の設計で、既存のデータシステムと柔軟に連携可能です。
これにより、AIは顧客の全チャネルにまたがる行動データを一元的に分析できるようになり、より精度の高いマーケティング戦略が実現します。

360度の顧客プロファイルの構築

複数の接点から収集されたデータを統合・照合することで、顧客の詳細な全体像が明らかになります。
これにより、AIは「次に起こすべきアクション(Next Best Action)」を予測し、超個別化されたエクスペリエンスを提供できるようになります。さらに、部門を超えた戦略的意思決定も支援します。

Composable CDPは、AIが完全で構造化された実用的なデータにアクセスできるようにし、即時活用可能なデータ基盤を整備できます。
これにより、自動化・パーソナライズ・予測分析の精度を最大限に高め、よりスマートな顧客エンゲージメントを実現可能です。
ただし、AIが活用できる状態にあるデータを単に「アクセス可能」にするだけでは不十分です。
そのデータが常に準拠性を保ち、将来的なAI活用にも耐えられるよう、保存・管理の在り方も同時に検討する必要があります。
次章では、この「準拠性の維持」と「AI導入を成功させるためのデータガバナンス」について詳しく見ていきましょう。

4. データ保持・セキュリティ・コンプライアンス:責任あるデータ管理ができていますか?

顧客の65%が「個人データの不適切な取り扱い」をブランド不信の主要因と挙げている現在、データの安全な取り扱いと責任ある管理は、企業にとって最重要課題となっています。
AIシステムは膨大な量の機密情報を処理するため、企業はGDPR(EU一般データ保護規則)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)、そして新たに制定されたEU AI法(AI Act)などの法規制への準拠は、単なる罰則回避にとどまらず、企業の信頼性を担保しAIの倫理的な活用を保証する上で不可欠です。
また、顧客との長期的な関係構築することにも繋がります。
以下は、マーケティング領域においてAI活用を進めながら、規制への準拠と高品質なデータ管理を両立させるための主要な方法です。

対応策

  • 暗号化(Encryption):顧客の支払い情報、行動データ、マーケティング接点などを第三者から読み取れない形式に変換することで、不正アクセスを防止
  • データの匿名化(Data Anonymization):個人識別情報(PII)を削除し、プライバシーを保護しながらも、AIによるセグメンテーションやターゲティングに必要な顧客インサイトの抽出を可能
  • PIIのマスキング(PII Masking):メールアドレスや電話番号などの機密情報を部分的に隠すことで、顧客の機密情報を公開することなく、ブランドのAIによるパーソナライゼーションがコンプライアンスを維持できるようにする
  • 戦略的なデータ保持(Strategic Data Retention):古いデータはコンプライアンス上必要ですが、管理が不十分ですと、不要なデータがAIシステムを圧迫するリスクもある。企業は高付加価値なデータのみを保持し、低価値な情報は計画的にアーカイブまたは削除することで、効率と精度の両立を図るべき。

このように、データのセキュリティと管理を徹底することで、企業はAIがプライバシーに配慮した高品質なデータを活用できる状態を維持できます。
ただし、コンプライアンス対応は「保護」だけでは不十分で、データライフサイクル全体における完全なトレーサビリティ(追跡可能性)が求められます。
次章ではデータ・リネージ(データの由来と流れを明らかにする仕組み)が、説明責任と透明性をどう実現するかに焦点を当てて解説していきます。

5. データ・リネージ(Data Lineage):AIにとって“透明性のある”データ運用ができていますか?

「たとえば、AIによる価格決定エンジンが、高額購入者に対して大幅な値引きを提示し、利益率が大幅に低下することを想像してみましょう。
または、AI駆動型のリードスコアリングシステムが、忠実な高価値顧客を「優先度が低い」と誤判定し、営業チームが機会を逸したとしたらどうしますか?」
これらは単なる「システムエラー」ではなく、AIの意思決定がどのデータに基づいて導き出されたのかを説明できない、データの透明性の欠如がもたらした深刻な課題です。
収益機会の損失、広告費の浪費、そして顧客信頼の低下といったビジネスインパクトに直結します。
AI主導のマーケティングを信頼性・説明責任・コンプライアンスのあるものにするためには、「データがどこから来て、どのように処理され、AIの意思決定にどう影響を与えたのか」を追跡・説明できる体制が不可欠。重要となるのが、透明性のあるAI(Explainable AI:XAI)と、データ・リネージ・ガードレールです。

画像の説明

全てのAI駆動型アクションが、明確で説明可能なデータフローによって裏付けられていることを保証します。

  • XAI(Explainable AI): AIモデルがどのような根拠でその判断を下したのかを「説明可能」な形で可視化し、企業がAIの意思決定を正当化・理解・改善できる状態を形成
  • データ・リネージ:データが取得元からAIのアウトプットに至るまで、どのように流れ、どのような処理がなされたのかを追跡するための基盤技術であり、AIの判断根拠を明らかにする

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AI予測精度の向上に不可欠な「4つのデータ・リネージのガードレール」

  • トレーサビリティ(Traceability):データの出所と流れを明確にし、AIの意思決定が信頼性の高いデータに基づいていることを保証。たとえば、購入履歴や閲覧行動といったどの顧客データが、どのようにAIの推奨に反映されたのかをマーケターが追跡可能になる
  • プロビナンス(Provenance):データのソースと、適用されたあらゆる変換または前処理ステップを記録。これにより、マーケターは、キャンペーンのパフォーマンスが低い場合に、AIが信頼できるファーストパーティデータを使用したか、不正確なソースを使用したかを確認可能
  • 依存関係マッピング(Dependency Mapping):データセット間の関係性を可視化し、上流データ(生データ、入力データ)の変化が下流のAI判断にどう影響するかを追跡。たとえば、「高い離反率」という予測が出た際、その原因が請求エラーやサービスに関する苦情だったかを特定するのに役立つ
  • 影響分析(Impact Analysis):データの変化がAIの予測や判断に与える影響を評価する。これにより、コストのかかる間違いを防ぐことを可能とする。たとえば、ロイヤルティプログラムの条件変更に応じて顧客セグメントが正しく更新されているかを確認することで、高価値顧客の誤分類を防止

AI活用に向けて、データ基盤をどう整備すべきか?

ここまで、AIに最適化されたデータ活用のための5つのステップをご紹介してきました。
では、今、あなたの組織のデータ基盤はどこまで準備が整っているでしょうか?
最近のレポートによると、64%の組織が少なくとも1PB(ペタバイト)のデータを管理しており、41%の組織は500PB以上を処理しています!
データ量が前例のない速さで増加しているため、データ基盤のアップグレードに失敗した企業は、AIシステムに対応できず、非効率性、セキュリティリスク、および信頼性の低いAIパフォーマンスにつながるでしょう。

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今こそ、企業がAIデータ対応への投資を後回しにするのではなく、戦略的な優先事項として扱うべき時です。
まずは、次のステップから取り組みを始めてみてはいかがでしょうか?

  • データ・レディネス(準備状況)の全社的な監査の実施
  • AI導入によって達成したいビジネスゴールとの整合性の確認
  • 実効性のあるスケーラブルなソリューションへの投資

この変革を加速させる有力な手段が、HCL Unica マーケティングスイートとHCL Composable CDPの導入です。両者を連携させることで、エンドツーエンドのデータ管理とAIドリブンなマーケティングの実現が可能になります。

HCL UnicaとComposable CDPが実現するAI対応のデータ活用

  • AI対応のデータ基盤(AI-ready Data Infrastructure): HCL CDPは、顧客データをリアルタイムで統合・強化し、包括的な360度顧客ビューを提供します。セマンティックレイヤー(意味付け)、データ・リネージ(出所追跡)、高品質なデータ管理機能などが、データの正確性・ガバナンスおよびコンプライアンスを一段と強化。
    さらに、クラウドとのシームレスな統合と柔軟で拡張可能なアーキテクチャにより、将来を見据えたスケーラブルなAI基盤を構築できる
  • スケールするハイパーパーソナライゼーション(Hyper-personalization at Scale):HCL Unicaが提供する高度なソリューションは、こうした標準化され、AIに最適化された高品質なデータを活用し、 「顧客の次に取るべき最適なアクション(Next Best Action)」の予測だけでなく、「次に提供すべき最適な体験(Next Best Experience)」までを提案。 これにより、AIと分析を駆使してハイパーパーソナライズされた顧客体験のために、精緻なターゲティングとオムニチャネルによる1対1のマーケティングが可能になる

HCL CDPによって強固なデータガバナンスとコンプライアンスを確保しながら、HCL Unicaのマーケティング自動化ソフトウェアを組み合わせることで、AI主導のマーケティング施策を安全かつ大規模に展開可能です。

データをAIの未来へと活用する準備はできていますか?
今こそ、AI活用を円滑に進めるために行動を始めましょう!

参考資料

https://cdn.avepoint.com/pdfs/en/ebooks/AI-IM-Whitepaper-v4.pdf
https://www.cmswire.com/digital-experience/the-role-of-data-privacy-in-customer-trust-and-brand-loyalty/
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/regulatory-framework-ai


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HCL AppScan 10.8.0:セキュリティのさらなる進化―カスタマイズ性、レポート機能、そして新たなライセンスプラットフォームの導入

2025/5月/7 - 読み終える時間: 2 分

HCL AppScan 10.8.0: Smarter Security with Customization, Reporting and New Licensing Platformの翻訳版です。


2025年2月28日
Ryley Robinson
プロジェクトマーケティングマネージャー

継続的なイノベーションロードマップの一環として、HCLSoftwareはHCL AppScan 10.8.0のリリースを発表できることを誇りに思います。
この最新アップデートでは、複数のアプリケーションセキュリティテスト製品に新たな機能が導入され、セキュリティテストの簡素化だけでなく、自動化の強化とレポート作成のコンプライアンス向上を実現します。
本アップデートでの主な改善点は、オンプレミス製品であるHCL「AppScan Standard」「HCL AppScan Enterprise」「HCL AppScan Source」の3製品に実装されています。
いずれのケースにおいても、精度と効率の向上は、お客様からのフィードバックやご要望、そして現在および将来のサイバー脅威に対応するための継続的な製品開発への投資の成果によるものです。

DevOps連携とカスタマイズ機能の強化

AppScan StandardおよびEnterpriseでは、最新バージョンのPostmanコレクションを自動で取り込み、再スキャン時にも更新されるようになりました。
これにより、APIの変更や追加があっても、毎回新たなスキャンを作成する必要がなくなり、常に最新のAPIセキュリティテストが実行されます。
また、ユーザー独自のニーズに応じてスキャン設定を微調整できるカスタムスクリプトの作成も可能となり、セキュリティテストにおける柔軟性が向上しています。
詳細については、こちら※英語ページに遷移しますをクリックしてください。

My HCLSoftware (MHS):ライセンス管理の新たなハブ

My HCLSoftware(MHS)※英語ページに遷移しますは、ご購入後の利用をサポートする全く新しい統合ポータルであり、HCL AppScan製品のすべてのライセンスニーズを管理するための新しいハブとなります。
今後、MHSは、サポートされているすべてのバージョンのHCL AppScanのライセンスをダウンロードおよび管理するためのプラットフォームとなります。
このポータルは、ライセンス管理の透明性を高め、お客様にシームレスなセルフサービス体験を提供するために設計されています。
ご不明な点がございましたら、サポート※英語ページに遷移しますにお問い合わせいただくか、当社のブログをご覧ください

自動化と精度の向上

認証エラーはセキュリティスキャンを中断を引き起こしますが、最新版のHCL AppScan Standardでは、自動ログイン処理が改善され、認証が必要なアプリケーションでも中断を最小限に抑えてテストを進められるようになりました。
正規表現(Regular Expression)機能も刷新され、カスタムパターンの定義によりリスクの検出精度が向上し、ユーザー体験の改善にもつながっています。

2024年版「CWE Top 25」への対応強化

セキュリティテストをさらに強化するために、HCL AppScan Source 10.8.0には、2024年のCWE Top 25の最も危険なソフトウェア脆弱性※英語ページに遷移しますに対する最新のサポートが含まれています。
これらの脆弱性は広く知られ、悪用も容易であるため、データ窃盗、業務妨害、またはアプリケーションの完全な乗っ取りを企む攻撃者にとって格好の標的となります。
このアップデートにより、開発チームは脆弱性の根本原因に対処し、セキュリティ対策を強化することで、産業界及び政府関連アプリケーションのリスク軽減に貢献できます。

レポート・コンプライアンス・セキュリティ機能の拡充

HCL AppScan Enterpriseでは、1つの脆弱性に対して複数のCWEを表示することで、チームがより効果的にリスクの優先順位付けをさらに明確化できるようになりました。
APIレスポンスにはCVSSベクトルスコアが追加され、より精緻なリスク評価が可能になりました。
また、新たに追加された「Activity Log REST API」により、セキュリティ関連の操作を一元的に追跡できます。
また、HCL AppScan on Cloud(ASoC)からSCA問題の結果を統合することで、脆弱性管理も単一プラットフォームで実現します。
さらに、Webアクセシビリティの国際基準である「WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)」に準拠した改良が加えられ、より多くのユーザーにとって使いやすい環境が整備されました。

HCL AppScan 10.8.0で、セキュリティの一歩先へ

今回のアップデートHCL AppScan 10.8.0は、自動化の強化、レポート機能の向上、他ツールとのスムーズな連携を通じて、セキュリティ脅威への先手対応を可能にしながら、業務効率の最適化も支援します。
詳細については、当社のドキュメント※英語ページに遷移しますまたはウェブサイトをご覧ください。

関連リンク

・重要なお知らせ:HCL AppScan のライセンス方式が2025年6月より変更を予定しております。(詳細はこちら※英語ページに遷移します


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ソフトウェア資産管理(SAM)のための支出の概要

2025/4/16 - 読み終える時間: ~1 分

Spend Overview for Software Asset Management (SAM)の翻訳版です。


2025年4月9日
Aleksander Garstka
Product Manager

ソフトウェア資産と IT 経費の管理は、コストを最適化し、コンプライアンスを確保し、効率化を推進しようとする企業にとって、重要なものとなっています。支出概要ダッシュボードは、ソフトウェア支出、ライセンシング、および潜在的な節約に関する概要をユーザに提供するように設計されており、企業は意思決定を自信を持って行うことができます。

Spend Overview Dashboardが重要な理由

IT支出の追跡は、特に複数のソフトウェアパブリッシャ、多様なコストセンター、およびライセンシング要件を扱う場合、厄介なことがあります。
画像の説明
このダッシュボードがユーザにどのような利点をもたらすかについて説明します:

1. ソフトウェア支出の全体像

ダッシュボードは、ソフトウェア支出総額をハイライトし、主要なベンダーとコスト・カテゴリー別に分類します。ユーザーは、出費がどこから生じているかを特定できるため、情報に基づいた予算配分とコスト管理が可能になります。

2. 潜在的な節約の特定

機能の 1 つは、潜在的な節約の機会を発見する機能です。ソフトウェアの使用とライセンスの詳細を分析することによって、組織は、過剰に支払っている可能性のある領域を特定し、コストを最適化するための行動をとることができます。

3. コンプライアンスとリスク管理

ソフトウェアライセンスのコンプライアンスを維持することは、罰則を避けるために非常に重要です。ダッシュボードは、今後の更新やライセンス不足の製品に関する洞察を提供し、問題になる前に、企業がコンプライアンスのギャップに積極的に対処できるよう支援します。

4. スマートな意思決定のための支出内訳

ダッシュボードは、トップパブリッシャー、コストセンター、プロジェクト、およびカテゴリ別に支出を分類し、財務配分の追跡を容易にします。IT管理者が部門別の支出を評価する必要がある場合でも、プロジェクトベースの支出を評価する必要がある場合でも、この内訳によって透明性と説明責任を高めることができます。

5. 未管理およびコンプライアンス違反製品

組織は、未承認ソフトウェアのインストールやコンプライアンス違反の管理に苦慮することがよくあります。ダッシュボードには、未管理およびコンプライアンス違反製品専用のセクションがあり、注意が必要なソフトウェアを可視化できるため、チームは迅速に是正措置を講じることができます。

ビジネス上の価値

支出概要ダッシュボードは、ソフトウェア資産管理(SAM)にとって不可欠なツールであり、ソフトウェア費用と日常業務の監視を合理化します。支出、コスト削減の機会、コンプライアンス管理に関する明確な洞察により、企業はより賢明な財務上の意思決定を行い、より効率的に業務を行うことができます。


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Software Asset Management - HCL BigFix成功事例

2025/4/16 - 読み終える時間: ~1 分

Software Asset Management - HCL BigFix Success Storiesの翻訳版です。


2025年4月9日
Aleksander Garstka
Product Manager

Software Asset Management (SAM)は、企業がソフトウェア・エコシステムを管理し、無駄を省き、 価値を最大化するためのソリューションとして登場しました。企業は常に、ソフトウェア・コストを最適化し、コンプライアンスを改善し、業務効率を高める方法を模索している。

しかし、SAMの成功とは実際にはどのようなものだろうか。この記事では、効果的なSAM戦略によってITランドスケープを変革し、コスト削減、リスク削減、効率化を実現した企業を紹介する。
画像の説明

ITコンサルティング会社、SAMで430万ドルのコストを500万ドルの利益に転換

ソフトウェア資産管理(SAM)チームは、HCL BigFixのインベントリ・ライセンス最適化機能によって、ある部門を黒字化することに成功しました:

430万ドルのコストセンターを500万ドルの利益センターに変えるのに十分なソフトウェアを取り戻すことができました。

ライセンスの最適化は、その部門の予算だけでなく、会社全体の収益にも大きな影響を与えました。

SAM 部門は、会社にどれだけの収益をもたらしているかという点で、トップセールスのサイロと競争できるようになりました」。

政府機関、SAM最適化でMicrosoft 365を300万ドル節約

Microsoft 365に投資を行う政府機関は、未使用ライセンスによる非効率性に直面していた。HCL BigFix Inventoryを導入することで、政府機関はMicrosoftポートフォリオのソフトウェア使用状況を可視化できるようになりました。

ライセンスの最適化により、未使用のリソースを特定し、再配分することで、パフォーマンスに影響を与えることなく300万ドルのコスト削減を実現しました。透明性が向上したことで、業務が合理化され、リソースが責任を持って使用されるようになりました。

グローバルな食品・飲料会社が監査を回避し、SAM で数百万ドルを節約

あるグローバルな食品・飲料会社は、頻繁な監査で知られるパブリッシャーのソフトウェアに年間 2,500 万ドルを費やしており、コンプライアンス違反の罰則によるリスクに直面していました。HCL BigFix Inventoryを導入することで、同社はソフトウェアポートフォ リオを可視化し、リアルタイムの追跡とコンプライアンスを実現した。

「自社が何を保有しているかがわかりました」

監査法人は、収益性の高い監査を確実に行うために、リスクの高い企業に焦点を当てます。HCL BigFixと強力なライセンス管理手法のおかげで、監査人は一貫してこの企業の監査を避けてきました。

「監査人は何年も当社を避けています。彼らは時間とお金を失うことを知っているのです」。

HCL BigFixによるソフトウェア資産管理(SAM)の変革力について考えてみましょう。コストセンターを利益創出源に変え、節約を達成することから、費用のかかる監査を回避し、コンプライアンスを確保することまで、様々な分野の組織がメリットを享受しています。

HCL BigFixのSAM機能は、ソフトウェア使用とコンプライアンス管理を通じて、様々なセクターで貴社のような組織が財務および業務の改善を達成するのに役立っています。


「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part4

2025/4/13 - 読み終える時間: 2 分

2025年4月13日

HCL Unica+の主要テーマ「ABCDEF」

続いて、岩田は、6つのテーマの頭文字、A~Fに沿ってHCL Unica+を紹介いたしました。テーマをわかりやすく映像化したものもお見せし、HCLSoftwareの最新の取り組みについて話しました。

画像の説明

① AI Powered:~AIを搭載~
マーケティング業務をより効率的かつ効果的にする、予測・生成AIツール「MAX AI」を搭載。例えばメール配信の最適な時間帯を過去のデータから提案、配信レポートからインサイトや、さらにコンテンツや件名の作成・修正候補を提案し、最適化をサポートします。

② Branded Experience ~ブランド体験~
Google Material Designを使用して新しいエクスペリエンスを構築、マーケティング担当者が便利に使い、生産性を上げられるUIへと改善しました。具体的にはシンプルなフローとナビゲーション、AIアシストと合理化されたUIによるアクセスの高速化。一貫性のあるデザインで、ウェブとモバイルで統一されたエクスペリエンスを提供します。

③ Cloud Architected ~クラウド・アーキテクチャ~
あらゆるハイパースケーラに対応しているのでお好きなクラウド環境で、またオンプレミスのままでもお使いいただけます。また厳しいコンプライアンス要件に対応しているため、セキュリティの心配もありません。グローバルで最大級の企業の柔軟性や信頼のニーズに応えられます。

④ Data-Driven: HCL CDP – Real-time Data Platform
HCL CDPは、すべての顧客データとマーケティングデータを一元管理できる、包括的なプラットフォームです。リアルタイムデータと履歴データを統合して、顧客をより深く理解できます。

⑤ Easy~簡単~
Marketing CloudのようにSaaS形態での提供により、Easy to Buy = 購入しやすい、Easy to Implement = 導入しやすい、Easy to Understand = わかりやすい、を実現します。

⑥ Foundation
色々なテーマが盛り込まれているUnica+の特筆すべき点として岩田があげたのは、AIを標準装備することで従来は「玄人向け」だったUnicaを、パワーユーザー以外でもも使いこなせる環境に改善したことでした。また、オンプレミス・パブリッククラウド・プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドなどお好きなクラウドアーキテクチャ、クラウドベンダーを選べることはもちろん、オンプレミスでも使用できる柔軟な提供形態が強みであり、HCL CDPも同様に、色々な環境で提供しています。

岩田 「Unica+のデモ環境もご用意しております。ご興味をお持ちいただけましたら実際に触って確かめることもできるので、お気軽にお声がけください」

情報交換会は和気あいあいとした雰囲気「次回開催が楽しみ」の声も

画像の説明

情報交換会では、初めて出会う方々が和やかにご歓談されていました。情報交換会の感想としては「同じ職種の人と出会える貴重な機会になった」「事例説明や情報などで、同じ立場の方と共感できたのが嬉しかった」という声が聞こえました。さらに「次回はマーケターだけでなく、隣の席の人など少しだけ業務領域が離れている方ともツールについて共有できる機会になれたらさらに楽しみになると思う」といった感想もありました。次回開催時期は未定ですが、この度の皆さまのお声を反映し、より良い体験を提供できるよう尽力して参ります。

次回を楽しみにお待ちください。

  • 「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part1
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「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part3

2025/4/13 - 読み終える時間: ~1 分

2025年4月13日

HCL UnicaBusiness & Industry Applicationsソリューション最新情報と今後の展望

佐藤様による事例のご紹介に続いては、ビジネスソリューションシニアディレクターの岩田行雄から、「Unica +」を中心にHCLSoftwareが提供するソリューションの最新情報と今後の展望についてお話しいたしました。

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Unica+の目的は、先ほど佐藤様が述べたように、ベストなデータ活用を実現してお客様にベストな体験を提供することである、と、岩田は参加者の方々にメッセージを送りました。

岩田 「私たちは、多くの皆さまにご愛顧いただいているサービスをキープしつつ、新たなモデルの提供も拡大しています。例えば、クラウド型のマーケティングツールの提供も増えていますが、原点であるオンプレミスもやめたりはしません。では、これまでのUnicaの歩みを一緒に見てきましょう」

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今回のユーザー会に参加いただいた多くの方に馴染みがあるのがUnica Classicの『Campaign』です。実際、世界中で「UnicaといえばUnica Campaign」というほどご愛顧いただいており、多くのマーケティング施策の基礎となるセグメントを作る装置の役割を担っています。

また、リアルタイムにパーソナライゼーションを展開する『Interact』、マーケティングチームのリソース管理をする『Plan』、こちらはアクセス権などを細かく設定できるもので、海外の大企業を中心に導入されています。そして、配信を最適化する『Optimize』などもUnica Classic世代の機能です。

岩田 「Unica Classicに新たな機能を加えたのがUnica V12.Xです。ご参加いただいている方のほとんどはUnica V12.Xにアップグレードして、今後シナリオ実行の『Journey』やデジタルチャネルに配信をする『Deliver』、分析ツールの『Insight』など新しいモジュールを活用を想定されているかとと思います。そのなかでも特に注目いただきたいのが『Discover』です」

Discoverは、Webやアプリの行動分析ツールです。従来のアナリティクスは成果があったものを分析するには秀でているものの、離脱など「成果に至らなかったデータ」を分析するには手間や時間がかかっていました。Discoverはロードブロックになっている箇所などを迅速かつ簡単に分析できるツールで、世界的な大手金融企業などでも活用されています。

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岩田 「そして最も新しい機能をご準備したものが、Unica+です。この中で『Detect』は、お客様の行動データ(ストリーミングデータ)をマーケティングに活用するものです。例えば、金融システムにおける不正検知の仕組みをマーケティングに応用するようなイメージで、お客様のクレジットカードの信用枠が80%を超えた際に新枠拡大を提案するなど、多様なアプローチが可能です。また、先ほど佐藤さんが説明されたAI予測分析の機能を搭載した『Max AI workbench』のほか、AIがキャンペーンやレポートを作ってくれる『Intelligent Agent』も新しい機能です。最後に、情報交換会に参加いただいた皆さまにぜひ知っていただきたい『Unica+のテーマ』についてご紹介します」

「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part4へ続く...


「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part2 - HCL Unica ユーザー企業による活用事例

2025/4/13 - 読み終える時間: 2 分

2025年4月13日

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HCL Unica ユーザー企業による活用事例

「HCL Unica ユーザー企業による活用事例」では、約8年にわたり、HCL Unicaを活用してマーケティング活動を行ってきている、株式会社ファンケルの通販営業本部 デジタル推進部コミュニケーション企画グループの佐藤康平様にご登壇いただきました。佐藤様は現在、ファンケルの通販部門でCRMやコミュニケーションの分野を担当されています。講演の冒頭では、これまでの活動を振り返りつつ、MAの利用シーンを詳細にご説明くださいました。

佐藤様 「ファンケルの売り上げの半分は化粧品で、残り半分を健康食品などが占めています。販売チャネルは半分が通販であり、直営店や流通、海外が残り半分になります。商品部門が開発した商品を、主力である通販というチャネルでお客様に『どう売るか』もしくは『コミュニケーションをどう作るか』が我々がやっていることになります」

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佐藤様によると、ファンケルの同部門が初めてMAを導入したのは2013年頃だったといいます。当時はHCL Unicaではなく、メール自動配信用のSAS製品を採用していました。ただ、次第にレスポンスやデータ容量不足といった課題が浮き彫りになり、性能向上による改善を図るために実施したのが、現在の「HCL Unica Campaign」へのリプレイスだったのです。その後、クラウドからオンプレミスへの移行という大きな決断をいただいたのは、2017年頃。それから約8年、HCL UnicaはLINEとの連携や機能拡充をしながら、基盤として、佐藤様の施策を支えています。

また、佐藤様が語るMA構成のポイントは以下の通りです。

  • スクラッチで作った基盤システムやカートシステムなどにすべてアクセスできるようMAサーバーを設置
  • 受注データやアクセスログのデータも一か所にまとめ、それをMAが加工して施策の対象者リストなどを作成している
  • 別製品の配信エンジンにAPIやFTPで連携し、その結果データも基盤に収集、コミュニケーションログを全社共有できるようにしている
  • クーポンの付与など個別のパーソナライゼーションもすべてMAで操作可能

佐藤様 「ここまで作りこめば、何か新しいことを思いついてもほぼ実現できる構成になっていると実感しています。実際の活用方法として機械学習を使った事例を紹介いたします」

機械学習を使った定期解約予測モデルと改善施策

佐藤様 「この施策は『定期購入の予約を予測して、解約しないようにアプローチする』ことが目的です。対象の製品である内脂サポートは、腸内環境を改善することで体重を減らすというものなのですが、腸内環境はすぐには変わらないという点がお客様に浸透していません。そのため変化を感じられずに解約してしまう人が多く、新規登録者は多いものの解約率も高いことが課題でした。その打ち手をAIとデータを活用して考えてみました」

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受注や定期変更、アクセスログなどの収集データを一度取り込み、複数の施策を実施、継続・解約の結果をLightGBMという機械学習アルゴリズムを用いて効果検証する、というのが大きな流れです。ポイントとして挙げられたのは、「判別分析」のような手法をとっているので、解約理由まで推測できること。佐藤様によると、これまでも予測モデルを使った取り組みをしてきたものの、結局「確率だけ分かっても打ち手につながらない」ことが課題だっだそうです。佐藤様が実践したAIの使い方は、マーケティングにおける大きな気付きになるのではないでしょうか。

佐藤様 「確率に加えて『その理由』がわかると『続けることでこんな効果がある』とか『効果の兆し』といった点をクリエイティブに落とし込めるようになります。実際の運用に役立てることを実感しているので、この点にはかなりこだわっています。また、お客様に解約時に必ずアンケートに回答していただくなど、データの取得もセットで実施しています」

佐藤様の講演では、ほかにも同施策の「こだわり」を数多くご紹介していただきました。例えば、すべての施策において、対象者の5%程度を、あえて何もアプローチしない「コントロール」として設定しているそうです。これによってMA自体の有無による差分などの検証ができ、ROIが出せるようになります。情報交換会では、実際のグラフを提示して説明していただきました。

佐藤様 「この検証では、定期購入を解約したお客様について、再開の可能性の高さ別に、特定のオファーを実施する / 実施しない / 何もアプローチしない、によって再購入に至った割合を比較しています。例えば、再開を迷っている、再開の可能性が高そうな層では、特定のオファーを送った場合、購入率に有意なアップリフトが見られます。ですので、アプローチすると効果がある、クリエイティブがうまく刺さったのではないか、といった推測ができるというわけです」

最後に、佐藤様はマーケティングそのものの取り組み方が近年大きく変化していることに触れ、今後の活動の展望について語りました。

佐藤様 「従来は、施策を積み上げて効果のある施策をたくさん増やすことをメインでやってきました。昨年くらいからはキャンペーンのマネジメントだけではなく、お客様にコミュニケーションが届いているのか、刺さるコンテンツを配信できているのかといった『体験マネジメント』に進化させていくことに、MAを使う人だけではなく、通販部門全員で取り組んでいます」

「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part3へ続く...


「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part1

2025/4/11 - 読み終える時間: 2 分

2025年4月13日 画像の説明

2025年3月7日、HCLSoftwareはザ・リッツカールトン東京で、国内では初となる「Digital+ マーケティング情報交換会」を開催しました。当日は、HCLSoftwareのMAソリューションであるHCL Unicaのユーザー8社12名が参加。その中でもヘビーユーザーとも言える株式会社ファンケルの佐藤康平様から、約8年にわたるMAを活用したマーケティング活動の事例を発表いただいたほか、ビジネスソリューション シニアディレクターの岩田行雄がHCL Unicaの今後の展望についてお話しいたしました。懇親会では「共感を得られる貴重な場だった」との声が聞こえるなど、普段はなかなか出会えないHCLSoftwareのユーザー同士が交流し、学びとつながりが生まれる場となりました。

開会のご挨拶、HCLSoftwareとDXの可能性

「Digital+ マーケティング情報交換会(以下、情報交換会)」では、主に「HCL Unica ユーザー企業による活用事例」、「HCL Unicaを始めとするソリューションの最新情報」、「懇親会」の3つのプログラムをご提供しました。

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開会に際しては、HCLSoftwareビジネスソリューションイヴァイスプレジデントのロバート・メイヤーとHCLビジネスソリューションAPJリーダーのキラン・アルバ二から、参加者の皆様へご挨拶を差し上げ、HCLSoftwareとDXの可能性についてお話ししいたしました。

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ロバート・メイヤー
「HCLSoftwareは、約15億ドルを売り上げているビジネス部門で、世界中で7,500人の従業員が所属、東京を含む45都市以上で事業を展開しています。グローバルで約20,000社のお客様に私たちのソリューションをご利用いただいています。年間約1億3000万ドルの研究開発費を費やしている最新のイノベーションの1つとして、HCL Unicaとマーケティングプラットフォームの進歩についてご紹介させていただきます」

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キラン・アルバニ 「私からはデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が提供する市場機会をご説明いたします。結論から言うと、いわゆる「デジタルエコノミー」には今後10年で8倍も増えるという大きなチャンスがあります。というのも、全世界のGDPは2025年現在は約110兆ドルであるものの、デジタル化されているのはそのわずか10%に留まっているからです。そして今後10年でデジタルエコノミーの規模は約8倍の80兆ドルまで拡大すると予測されています」

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キラン・アルバ二のメッセージの中でもぜひ、皆さんにお伝えしたいのが「今後のデジタルの可能性」です。今後10年で8倍まで拡大するデジタルエコノミーにおいては、Digital+ マーケティング情報交換会」に参加された方々はもちろん、幅広い業界の方に当事者になれるチャンスがあるからです。

では、10年というビジネスにおいては決して長くない期間で、どうすれば「当事者」になれるのでしょうか。キアン・アルバ二は、適切なタイミングかつ適切な立ち位置でビジネスを展開する必要があると述べ、そのために重要な3つの要素を挙げました。「マルチモーダルデジタルコマース」「デジタルマーケティング」そして「テクノロジーソリューションとAI」です。この3つの要素を実現するパートナーとしてHCLSoftwareが最適である、とキアン・アルバ二は明言しました。

キラン・アルバニ 「私たちは、当社とお客様がこの大きな流れをつかみ、顧客体験を飛躍的に向上させることを目指しています。世界中の大企業にマーケティングサービスを提供している実績に基づいて独自のAIプラットフォームを開発しており、次世代のエクスペリエンスを実現するためのデータを十分に得ています」

「Digital+ マーケティング情報交換会」を国内で初めて開催 - 学びとつながりの創造場が誕生 Part2へ続く...


このブログについて

HCL Japan の Software 部門の複数担当者で HCL Software 全般について記しています。

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